新興国の電子決済市場が急速に拡大する中、フィンテック企業 DLocal(ディーローカル) が注目を集めています。
グローバル企業が新興市場で商品やサービスを販売する際に直面する「複雑な現地決済」の課題を、同社は独自のソフトウェアプラットフォームで解決。AmazonやNetflixなどの世界的企業を顧客に持ち、「新興国特化×多様な決済対応」という明確な強みで存在感を高めています。
本記事では、DLocalの事業内容等を整理し、今後の成長性と投資判断について考察します。
DLocal(DLO)とは?
DLocal(ディーローカル)は2016年創業のウルグアイ発のフィンテック企業で、新興国(ラテンアメリカ、アジア、アフリカなど)に特化した電子決済プラットフォーム を提供しています。
グローバル企業が新興国市場で商品やサービスを販売する際、現地の複雑な決済手段(銀行送金、電子ウォレット、現金払いなど)に対応する必要があります。DLocalはそれらを一括で接続・処理できるAPIプラットフォームを提供。企業は1つの統合システムで多様な現地決裁を受け付けることができます。主要顧客には Amazon、Netflix、SHEIN、Spotify などグローバル企業が名を連ねており、大手競合のStripeやAdyenと比べて「新興市場特化」という明確なポジションを築いています。

これまでの業績・バリュエーション
・売上・利益:
売上は2021年以降、年率約20%以上の高い売上成長を記録しています。新興国、特にラテンアメリカでの電子決済が急拡大している点とAmazon, Netflixなどのグローバル企業が新興国での販売を強化しているためです。
営業利益も順調に拡大していましたが、2024年は前年割れしました。これは、Take rate(手数料)の減少と成長維持のための研究開発などへの投資拡大のためです。手数料の減少に関しては、手数料が相対的に低い市場(競争が激しい地域)への参入や大手グローバル企業の値引き交渉の影響と言われています。
2025年のガイダンスでは、新興国の電子決済の需要拡大を背景に売上・営業利益の飛躍的な成長が予想されています。

・バリュエーション・財務健全性:
バリュエーションは、将来の成長を織り込んでいますが、高成長Fintechとしては割安水準です。2025年10月の記事執筆時点で約14ドルで、PERは約30倍です。
財務的にはDLocalは、高収益、低負債、高い使用資本利益率という理想的な構造を持ち、成長企業の中でもかなり健全な部類です。負債比率(Debt/Equity)は14%と低く、レバレッジは過度にかけていません。使用資本利益率(ROCE)も約35%と高いです。

私の投資判断
中期(4年前後)保有での買い
拡大を続ける新興国の電子決済需要を追い風に、幅広い決済手段を統合的に提供できるという強みを活かし、DLocalは今後も高い成長軌道を維持すると予想します。
株価も依然としてやや割安圏にあり、下値リスクは限定的と考えられるため、投資妙味は十分です。
リスクとしては、大手参入によるTake rate(手数料率)低下や新興国通貨安・規制変化などが挙げられますが、これらが顕在化しない限り、中期的な保有メリットは高いと判断します。
・将来性:
新興国の電子決済市場の成長に合わせて、今後数年間はDLocalの売上・収益も拡大していくと予想します。
DLocalが事業展開する新興市場では、今後5年間で電子決済市場が年率20〜30%成長すると予測されています。同社は早期に参入しており、各国の主要なローカル決済(Pix、OXXO、UPI、M-Pesaなど)をAPI経由で統一的に提供できる点が強みです。
大手(Stripe・Adyen)も新興国展開を強化していますが、現地規制・商慣習に対応した決済ネットワークの構築には時間がかかるため、DLocalの先行優位は少なくとも数年間は維持されると見ています。
リスクとしては、新興国の通貨安・規制変化などが挙げられます。これらのリスクは完全には避けられませんが、DLocalは影響を可能な限り抑える堅実な企業運営を行っています。
・バリュエーション:
現在株価の約$14.2はやや割安です。新興国市場での電子決済の強い需要に合わせて売上が拡大していけば上値余地も十分あり、投資対象として魅力的です。
DCFモデル(将来のキャッシュフロー予測から現在の企業の理論株価を試算する方法)では、中立シナリオでの理論株価は約$14.7で現在株価($14.2)と比較してやや割安です。
多様な決済対応力、俊敏な技術開発スピートが評価され、売上が拡大する強気シナリオの達成も十分あり得ると思います。
大手参入によるTake rate(手数料)の低下により営業利益が低下する弱気シナリオでも割高率は約12%と下値限定的と予想します。

おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。今回は、DLocalの業績と今後の成長性を分析しました。
今後も注目の米国企業の銘柄分析を配信していきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。


